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動物病院の施設数は増加傾向?増加要因と開業時の懸念点を解説

2026.07.02 PRESS RELEASE

近年、動物病院の施設数は全国的に増加傾向にあります。

グラフで示されているように、畜産動物を除いた小動物診療施設数は2015年以降ゆるやかに増加しています。

令和7年時点では、全国で13,046施設となっており、ペットを対象とした動物病院の新規開業や移転・拡張の動きが続いていることがうかがえます。

動物病院が増加している主な3つの要因

動物病院の施設数が増加している背景には、主に以下の3つの要因が考えられます。

1.ペット医療へのニーズの高まり

動物病院の施設数が増加している背景にはペット医療へのニーズの高まりがあります。

近年ペットを家族の一員として考える飼い主さんが増え、病気やけがの治療だけでなく健康管理や予防医療など、より質の高い医療サービスを求める傾向が強まっています。

こうしたニーズの高まりを受けて、新たに動物病院を開業したり既存の動物病院が改築・移転したりする動きが進み施設数の増加につながっていると考えられます。

2.ペット飼育者の意識変化

ペットを「家族の一員」と捉える飼い主さんが増えたことで動物病院に求められる役割も変化しています。

これまでは、動物病院は病気やけがをした際に通う場所という印象が強かったかもしれません。しかし、現在では日常的な健康相談や予防、定期的な診療を行う場所として利用されるケースも増えています。

より、専門的で質の高いサービスを提供する動物病院へのニーズが高まっていることも結果的に施設数の増加につながっていると言えるでしょう。

3.獣医療を取り巻く制度や診療環境の変化

農林水産省が獣医療提供体制の整備を推進していることから、動物病院にはこれまで以上に質の高いサービス提供が求められています。

これに伴い、新しい設備を導入した動物病院の新規設立や既存の動物病院の改築・移転が進み、施設数増加の一因となっています。

また、診療内容だけでなく、飼い主さんやペットが安心して通える環境づくりも重要になっています。待合室や診察室・手術室・入院スペースなど施設そのものの機能性や快適性を高める動きも広がっています。

これらの要因を考えると、動物病院の施設数は今後も一定の増加傾向が続くと考えられます。

一方で、獣医師数は減少傾向にあります

動物病院の施設数が増加している一方で、獣医師数は直近で減少傾向にあります。

農林水産省の「獣医師の届出状況」では、令和6年の獣医師数に関する統計が公表されています。動物病院の施設数が増える一方で、獣医師の確保が今後より重要な課題になることが考えられます。

つまり、動物病院の開業ニーズは高まっているものの、獣医師やスタッフの採用・定着についてはこれまで以上に慎重に考える必要があります。

新規開業における懸念点

しかし、動物病院の新規開業にはいくつかの懸念点が存在します。

これらは主に、経営面・財務面・人材面の3つに分けられます。

1.経営面

開業当初は患者数が安定しない可能性があります。

どれだけ良い設備や、診療体制を整えても地域の飼い主さんに病院の存在を知ってもらえなければ来院にはつながりません。

また、近隣の競合病院に関する情報が少ないまま開業すると、自院の強みをどのように打ち出すべきか判断しづらくなります。周辺にどのような動物病院があるのか、どのような診療内容を提供しているのかを把握することが重要です。

さらに、ペットの飼育状況が不明確なままでは最適な立地を見極めることも難しくなります。開業前には地域の特性や、飼い主さんのニーズを踏まえたうえで慎重に立地を検討する必要があります。

主な懸念点としては以下が挙げられます。

①開業当初の患者数が安定しない可能性がある。

②どのように病院の認知度を高めていくべきか分からない。

③近隣の競合病院に関する情報が少ない。

④ペットの飼育状況が不明確で、最適な立地を見極めるのが難しい。

2.財務面

財務面では開業にかかる初期費用の把握が重要です。

動物病院の開業には、物件取得費、内装工事費、医療機器の導入費、人件費、広告宣伝費、開業後の運転資金など、さまざまな費用が発生します。

開業に必要な費用の目安を事前に整理しておかなければ、開業後の資金繰りに不安が残る可能性があります。

また、開業直後から患者数が安定するとは限らないため、一定期間は売上が想定よりも下回ることも考えられます。そのため、開業時点で無理のない資金計画を立てておくことが必要です。

さらに、運営費や収益を考慮した料金設定も重要です。

人件費や家賃、設備投資などの固定費を踏まえたうえで、安定した経営につながる料金設定を検討する必要があります。

主な懸念点としては以下が挙げられます。

①開業にかかる初期費用の目安が分からない。

②資金繰りの適切な管理方法が分からない。

③運営費や収益を考慮した適切な料金設定の仕方が分からない。

3.人材面

人材面では、必要な獣医師やスタッフをどのように採用し、育成していくかが大きな課題になります。

動物病院の施設数が増加している一方で、獣医師数は直近で減少傾向にあります。そのため、新規開業においては、必要な人材を確保する難易度が高まる可能性があります。

また、採用できたとしても、スタッフの教育や評価の仕組みが整っていなければ、業務の質にばらつきが出たり、スタッフの定着に課題が生じたりすることもあります。

開業前からどのような人材が必要なのか、どのように採用を進めるのか、採用後にどのように教育していくのかを考えておくことが重要です。

主な懸念点としては以下が挙げられます。

①必要な技術者の採用をどう進めるべきか。

②スタッフの教育や評価をどのように行うべきか。

③人材を定着させるための職場環境をどのように整えるべきか。

まとめ

動物病院の施設数は増加傾向にあり、畜産動物を除いた小動物診療施設数は令和7年時点で全国13,046施設となっています。

その背景には、ペット医療へのニーズの高まり・ペット飼育者の意識変化や獣医療を取り巻く制度や診療環境の変化などがあると考えられます。

一方で、獣医師数は直近で減少傾向にあり、動物病院を新規開業する際には人材確保が大きな課題になる可能性があります。

動物病院の開業を成功させるためには、経営面・財務面・人材面の懸念点を事前に把握し対策を練ることが不可欠です。

開業前の段階で、立地選定・資金計画・認知度向上・人材採用・スタッフ教育などを整理しておくことで開業後の安定した運営につながります。

〈出典〉
農林水産省「飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)」
農林水産省「獣医師の届出状況」